マーケティングの基本行動指針〜何をすべきか分からなくなったらまず初めに確認すること〜

マーケティングの業務は多岐に渡り、漠然としていて途方に暮れる人は多い。MBAマーケティングと題売った書籍を手に取ったところで、実際の業務でどのように活かせばよいかピンと来ない。本記事では、マーケティング初心者むけに、便宜上わかりやすいマーケティングの定義や、現場レベルの視点で落とし込んたマーケティング業務の基本の流れを解説する。

マーケティングとは何か?

マーケティングの定義は様々で、コトラーやドラッカーなどの書籍を読んでもピンとこないことも多い。私としては、グロービス経営大学院が提唱している以下の定義から入るのが、最も混乱が少ないと思う。

マーケティングとは、顧客ニーズや満足を中心におきながら「買ってもらえる仕組み」を作る活動である。

[改訂4版] グロービスMBAマーケティング

なぜなら、企業で働く人がマーケティング業務を行う際、最大の目的になるのは「自社の利益の最大化」であるからだ。そのために「買ってもらう上手い仕組み」を作ると考えるのは自然であるので、上記の定義は普段働いている人にも直感的に理解できるであろう。

マーケティング業務を行う際の大前提

マーケティング業務の進め方を説明する前に、その前提となる大切なことがある。それは「今直面している課題を明確にする」ということだ。まるで『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人 著)という有名な本のタイトルに似ているような話で恐縮だが、これこそが業務を効率的かつ効果的に進めるキーだ。というのも、実際の現場では多くの人が課題を明確にせずに、あれこれ情報を集めたり分析し始めたりする。(各位言う私もその節がある・・・)また、各個人で課題は明確にしていても、皆が別々な課題を持っているせいで、議論がとっ散らかるという状況もよくある。つまり、何をするにしても第一に課題を明確にし、その課題を解決するためにざっくり妄想でも良いので課題の原因となっていることの仮説を立てる。そして、その仮説の正しさを確かめるために情報を集め、分析し、仮説を修正してブラッシュアップしていく。場合によっては最初に設定した課題よりも、より本質的な課題があることに気づき、課題を再設定することもあるだろう。ある程度筋の良い仮説が立てば、あとはその仮説に基づき、課題を解決するための具体的な方法を考え、実行する。

課題と仮説の具体例

課題:ホームページからの資料請求の問い合わせを2倍にしたい。

仮説:ホームページへの流入数が不足しているのではないか?、コンバージョン率が低いのではないか?、自社サービスが市場のニーズに合っていないのではないか? etc.

マーケティングにおける基本のPDCAサイクル

課題と仮説が立ったら、課題と仮説が正しいかを分析し、課題解決のための戦略や施策を立て実行するという作業をを行う。作業は大きく3つのステップに分けることができる。

  1. 分析:外部・内部環境を分析して、直面している課題を特定する。
  2. 立案:分析を踏まえて、戦略や施策を立てる。
  3. 実行:立案で検討したことを実行する。
分析・立案・実行の具体例

課題:ホームページからの資料請求の問い合わせを2倍にしたい。

仮説:ホームページへの流入数が不足しているのではないか?

分析1:問い合わせ数は「ホームページへの流入数 × コンバージョン率」で決まる。

分析2:問い合わせ数を増やすには、流入数またはコンバージョン率のどちらかを上げれば良い。

分析3:ホームページへの自然検索や、リスティング広告からの流入により発生した問い合わせのコンバージョン率は業界平均と同水準。

分析4:自然検索やリスティング広告などの検索エンジン由来の流入がホームページへの流入の7割を占める。

立案:SNS広告を使って、流入チャネルのバリエーションを増やす。

実行:SNS広告を運用してみる。

まとめ

マーケティングとは「顧客に買ってもらうための仕組みを作ること」であり、その仕組み作りの第一歩は自分たちが直面している課題を明らかにし、その課題の原因に関する仮説を立てることである。そして仮説が立ったら、仮説を検証するために分析を行い課題とその原因を特定し、課題解決のための戦略や施策を考え実行する。この繰り返しがマーケティング業務の基本の流れになる。